未払い養育費に途方に暮れたとき、「家庭裁判所に相談すれば助けてくれるのでは?」と頭をよぎるかもしれません。
実際、私も相談者に「家庭裁判所に行けば未払いの相談にのってもらえますか?」と尋ねられた事があります。

「相談」といっても、法律相談やアドバイスをしてくれるわけではありません。
なぜなら、裁判所は中立機関であり、一方当事者の味方についたり法律相談をする場ではないからです。
しかし、家庭裁判所には「心強い無料相談窓口」があります。
それは「家事手続案内」という無料相談窓口です。

家事手続案内は、平日の日中に裁判所へ行けば予約不要で対応してもらえるので、思い立ったときにすぐ利用できます。
専門の裁判所職員が、あなたの家庭のトラブルにどんな手続が利用できるのか、申立ての方法はどうすればよいかを、20分ほどで丁寧に説明してくれるのです。
家事手続案内で実際に教えてもらえる内容は多岐にわたります。
たとえば離婚調停や養育費請求の申し立て方法、申立書の書き方から、必要な収入印紙代や郵便切手の額まで、具体的な手続きの流れを一通り案内してくれます。

裁判所で扱う家事事件(離婚・親権・相続など)に関することなら全国どこの家庭裁判所でも同じように案内を受けられます。
養育費の未払いで悩んでいる方も、「養育費を請求するにはどの書類を出せばいいの?」と尋ねれば、ちゃんと教えてもらえます。
例えば「調停を申し立てるなら戸籍謄本と住民票が必要です」といった具合に、準備すべき書類も具体的にアドバイスしてくれるのです。

家庭裁判所で教えてもらえないこと
とはいえ、何でもかんでも裁判所が教えてくれるわけではありません。
家事手続案内ではあくまで「手続きの仕方」や「必要な書類・費用」など手続面の説明に限定されます。

「離婚した方がいいかどうか」「慰謝料や養育費はいくらもらえるか」など、あなた自身のケースの核心部分に関する相談は残念ながら窓口では応じてもらえません。
実際、あるシングルマザーの方が「元夫から養育費を取れますか?」と尋ねたところ、職員から「申し立て方法は説明できますが、結果についてはお答えできません」と静かに告げられたようです。
彼女はがっかりしたようですが、これは家庭裁判所の立場上やむを得ない対応なのです。
家裁の職員は中立であり、具体的な金額や「やるべきかどうか」の判断はしてくれません。
もし「それが知りたいのに…」ともどかしく思っても、そこは割り切って受け止める必要があります。
