先日、初めて養育費算定表を目にしたA子さんは、その細かな数字の一覧に思わず目を丸くしていました。
「こんな表があるんですね…!」と戸惑う彼女に、私はゆっくりと説明します。
養育費算定表とは、裁判所が公表している養育費の早見表です。
2019年12月に最高裁判所が新しい算定表を公表し、それ以降この表が全国の家庭裁判所で用いられています。
表は子どもの人数と年齢ごとに分かれており、縦軸に義務者(支払う側)の年収、横軸に権利者(受け取る側)の年収をとって交差する欄に月々の養育費の目安額が示される仕組みです。
一見して数字だらけで圧倒されるかもしれませんが、意外とシンプルだと思いませんか?

養育費の計算手順について
養育費の計算手順は次のとおりです。
1.両親の基礎収入を算出する
父母それぞれの年収から、税金や仕事上の必要経費等を差し引いた「基礎収入」を求めます。
例えば年収600万円の父なら600万円×41%≒246万円、年収200万円の母なら200万円×43%≒86万円が基礎収入です。
2.子の生活費を計算する
親の生活費指数を100、子どもの指数は年齢に応じて0~14歳は62、15歳以上は85と定められています。
この指数を使い、子どもがもし義務者(支払う側の親)と同居していた場合に子に充てられる生活費(子の生活費)を計算します。
計算式は 子の生活費=義務者の基礎収入×(子の生活費指数÷(100+子の生活費指数))です。
3.両親の収入割合に応じた養育費を算出する
求めた子の生活費を父母の収入割合で按分し、義務者が負担すべき養育費(年額)を算出します。
式は 養育費(年額)=子の生活費×(義務者の基礎収入÷(権利者の基礎収入+義務者の基礎収入)) となります。
算定された年額を12で割ると、月額の養育費がわかります。
例えば、父の年収が600万円、母の年収が200万円の場合、子どもが0~14歳なら養育費は月約4~6万円、15~19歳なら月約6~8万円が標準的な目安になります。
計算式で具体的に算出すれば、8歳のお子さん一人の場合で年約69万6,000円(=月約5万8千円)、16歳なら年約83万円(=月約6万9千円)という結果が得られます。

もちろん、算定表や計算式で導いた金額はあくまで標準的な目安です。
各家庭の事情によっては金額を調整する場合もあります。
例えば、子どもの特別な医療費や私立学校の学費など、通常より多くの費用がかかる場合では、養育費に上乗せすることも検討すべきでしょう。
それとは逆に、支払う側の親に著しい経済的困難がある場合には、一時的に減額や支払い猶予を協議することも考えられます。

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未来に向け一歩踏み出してみて下さい
養育費の計算の仕方が分かったことで、心のモヤモヤが少し晴れたのではないでしょうか。
あとは未来に向けて実際の行動に移すのみです。
まずは今回知った方法で養育費の目安額を算出し、元パートナーときちんと話し合ってみましょう。
