認知が無くても養育費は相手に請求できる?

認知が無くても養育費は請求できる?

認知なしでも養育費は請求できる?未婚シングルマザーが知るべき法的手続きと対処法

「相手が子どもの認知をしてくれない…」

「認知がないと、養育費は請求できないの?」

未婚のまま出産し、シングルマザーとして子育てに奮闘する中で、このような悩みを抱えている方は少なくありません。

子どもの将来のためにも、父親には養育費を支払ってもらいたい。でも、相手が認知を拒否している場合、どうすれば良いのか分からず、一人で抱え込んでしまっているのではないでしょうか。

ご安心ください。たとえ相手が認知をしていなくても、養育費を請求する方法はあります。

この文章では、養育費の未払いで悩むあなたのために、認知がない状態から養育費を請求するための具体的な方法や法的な手続きについて、分かりやすく解説していきます。

一人で悩まず、正しい知識を身につけて、お子様との未来のために、今できる一歩を踏み出しましょう。

認知がなくても養育費を受け取る2つの方法

「認知がないと、法的には養育費を請求できないの?」と不安に思われるかもしれません。確かに、法律上の親子関係がなければ、父親に養育費の支払い義務は発生しません。

しかし、諦める必要はありません。認知がない場合でも、養育費を受け取るための方法は2つあります。

1. 相手との話し合いで合意する(任意での支払い)

まず考えられるのが、相手と直接話し合い、任意で養育費を支払ってもらう方法です。

法的な支払い義務がないからといって、道義的な責任までなくなるわけではありません。話し合いの場を設け、子どもの父親として責任を果たしてほしいと真摯に伝えることで、相手が支払いに応じてくれるケースもあります。

弁護士
相手が話し合いに応じてくれそうなら、まずは冷静に、感情的にならずに交渉することが大切ですよ。

もし相手が支払いに合意してくれたら、必ず「公正証書」を作成しておきましょう。

ココがポイント

公正証書とは?
公正証書は、公証人が作成する公的な文書です。養育費の支払いに関する合意内容を公正証書にしておくことで、もし将来支払いが滞った場合に、裁判を起こさなくても相手の給与などを差し押さえる「強制執行」の手続きが可能になります。

口約束だけでは、後から「言った、言わない」のトラブルになりかねません。大切な養育費を確実に受け取るためにも、必ず書面に残しておくことが重要です。

2. 「認知」を求めて法的な親子関係を確定させる

相手が話し合いに応じない、あるいは支払いを拒否する場合には、「認知」を求める法的な手続きに進むことになります。

認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもと、その父親との間に法律上の親子関係を成立させる手続きのことです。

認知が認められれば、法律上の親子関係が成立し、父親には子どもを扶養する義務(養育費の支払い義務)が発生します。

次の章では、この「認知」について、さらに詳しく解説していきます。

養育費請求の第一歩!「認知」が持つ法的な力とは?

認知請求

「認知」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような効果があるのか、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。

認知は、お子様の養育費を確保する上で、非常に重要な意味を持ちます。

認知によって得られる3つの大きな効果

  • 養育費の請求権が発生する
  • 過去に遡って養育費を請求できる可能性がある
  • 子どもに相続権が発生する
1. 養育費の請求権が発生する

前述の通り、認知によって法律上の親子関係が成立すると、父親には子どもに対する扶養義務が生じます。これにより、あなたは法的な権利として、堂々と養育費を請求できるようになります。

2. 過去に遡って養育費を請求できる可能性がある

通常、養育費は「請求した時」から支払い義務が発生するのが原則です。しかし、認知の場合、その効力は子どもの出生時に遡って生じるとされています。

そのため、判例によっては、認知が成立すれば、出生時からの過去分の養育費をまとめて請求できる可能性があります。これは非常に大きなポイントです。

ただし、過去分の養育費の請求がどこまで認められるかは、相手の支払い能力やこれまでの経緯など、個別の事情によって判断が異なります。必ずしも全額が認められるとは限らない点には注意が必要です。

3. 子どもに相続権が発生する

認知されると、子どもは父親の「法定相続人」になります。これは、将来父親が亡くなった際に、その財産を相続する権利が認められるということです。

たとえ父親と一度も会ったことがなくても、法律上、他の兄弟姉妹と同じ立場で相続する権利を持ちます。

認知は、単に養育費のためだけでなく、お子様の将来の権利を守るためにも、非常に重要な手続きなのです。

では、相手が任意に認知してくれない場合、どうすれば良いのでしょうか。次章では、強制的に認知をさせるための法的手続きについて解説します。

相手が拒否しても大丈夫!強制的に認知させる「認知調停・認知の訴え」

「何度頼んでも、相手が認知してくれない…」そんな時は、家庭裁判所の手続きを利用して、強制的に認知を求めることができます。これを「強制認知」といいます。

強制認知の手続きは、いきなり裁判(訴訟)を起こすのではなく、まずは「認知調停」という話し合いの場からスタートするのが原則です。

ステップ1:認知調停の申立て

認知調停とは、家庭裁判所の調停委員が間に入り、当事者双方から話を聞きながら、合意を目指して話し合いを進める手続きです。

  1. 申立て先:原則として、相手の住所地を管轄する家庭裁判所
  2. 申立てできる人:子ども本人、またはその法定代理人(母親など)
  3. 費用:収入印紙1,200円と、連絡用の郵便切手代程度

調停では、親子関係を科学的に証明するために「DNA鑑定」が行われることが一般的です。鑑定費用は10万円前後かかることが多いですが、これにより血縁関係が証明されれば、相手も認知を認めざるを得なくなるケースがほとんどです。

弁護士
調停は、あくまで話し合いの場です。調停委員が中立的な立場でサポートしてくれるので、直接相手と顔を合わせずに手続きを進めることもできますよ。

調停で相手が認知に合意すれば、そこで手続きは完了です。裁判所が合意内容をまとめた「審判」を出し、役所に届け出ることで、戸籍に認知の事実が記載されます。

ステップ2:認知の訴え(裁判)

もし、調停でも相手が認知を拒否し続け、話し合いがまとまらなかった場合には、最終手段として「認知の訴え」という裁判を起こすことになります。

裁判では、DNA鑑定の結果などの証拠に基づいて、裁判官が強制的に認知を命じる判決を下すことになります。

DNA鑑定で血縁関係が明らかであるにもかかわらず、相手が鑑定を拒否したり、裁判所に出頭しなかったりする場合でも、裁判所はこれまでの経緯などから親子関係を認定し、認知を命じる判決を下すことができます。

このように、法的な手続きを踏めば、相手の意思に関わらず、認知を成立させることが可能です。手続きが複雑で不安に感じるかもしれませんが、弁護士に依頼すれば、申立てから裁判まで、全ての手続きを代理で行ってくれます。

一人で悩まないで!養育費請求のために今すぐできること

ここまで、認知と養育費に関する法的な手続きについて解説してきました。しかし、実際にどう行動すれば良いのか、迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、あなたが今すぐできる具体的なアクションについてアドバイスします。

1. まずは証拠を集めましょう

相手との交渉や法的な手続きを有利に進めるためには、「あなたと相手との間に子どもが生まれた」という事実を客観的に示す証拠が重要になります。

  • 相手とのメールやLINEのやり取り
  • 妊娠・出産を伝えた際の相手の反応が分かるもの
  • 相手が父親であることを認めているような会話の録音
  • 妊娠中の写真やエコー写真

些細なことだと思えるものでも、後々重要な証拠になる可能性があります。手元にあるものは、大切に保管しておきましょう。

2. 弁護士に相談するタイミング

養育費の問題は、非常に専門的な知識が必要です。どのタイミングで弁護士に相談すれば良いのでしょうか。

もっと詳しく

結論から言うと、「できるだけ早い段階」で相談することをおすすめします。

相手との交渉を始める前に相談すれば、今後の見通しや有利な交渉の進め方についてアドバイスがもらえます。もちろん、相手に支払いを拒否された後や、調停を考えている段階での相談でも遅くはありません。

多くの法律事務所では、初回の相談を無料で行っています。一人で悩み続けるよりも、まずは専門家の意見を聞いてみることで、気持ちが楽になり、進むべき道が見えてくるはずです。

まとめ:お子様との未来のために、勇気を出して一歩を

今回は、認知がない場合の養育費請求について解説しました。

  • 認知がなくても、相手との合意があれば養育費はもらえる
  • 合意内容は「公正証書」に残すことが重要
  • 相手が拒否する場合は「認知調停・訴訟」で法的に認知を求められる
  • 認知が認められれば、養育費の支払い義務が発生する

養育費は、お子様が健やかに成長していくために、そして、あなた自身の生活を守るためにも、非常に大切なものです。父親には、その責任を果たす義務があります。

弁護士
法的な手続きと聞くと、難しく感じてしまうかもしれませんね。でも、大丈夫。あなたは一人ではありません。私たちが、あなたの新しい一歩を全力でサポートします。

当事務所では、養育費に関するご相談は何度でも無料です。着手金もいただいておりません。まずはお気軽な気持ちで、あなたのお悩みをお聞かせください。

LINEで弁護士に無料相談